京を語る

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第49号 2000.7.7発行
このページは、情報誌「京都」掲載記事からの転載です

宗派や寺ごとに異なるきまりを守り伝える。林 寛一 有限会社林勘法衣店

以前、テレビ番組で取材を受けたことがあるのですが、そのテーマはなぜか「珍商売」。我々やっている本人は、珍しいことでも何でもないのですが、修験者の装束というのは、一般の人からは奇妙に映るみたいですね。いわゆる山伏を想像していただいたらいいのですが、白装束に梵天が付いた袈裟、錫杖、法螺貝といったものは、確かに普通のお商売内容とは違うかもしれません。難しい点は、宗派や各お寺さんによって、意匠や大きさ、また階級の違いなどがあり、それを熟知していなければいけないこと。最近では、そういう約束事を知らずに扱われる方も増えているので、修験者の方の格好を見て、首をかしげることも少なくありません。逆に、熱心に研究されている方が来られたりもするので、私も怠ることなく勉強し続けないといけないと思っています。

袈裟の縫製や法螺貝の加工などいろいろな仕事があるわけですが、親からいちいち細かい手ほどきはありませんでした。しかし、見様見真似でいつのまにか覚えているもんですね。ただ、私の祖父が研究熱心であったため、ご先祖様から伝えられてきたものを集大成し、資料として残してもらっているので、それらを参考にできるのがありがたいことです。

生まれも育ちもずっと京都ですが、コンビニやマンションが増え、随分町並みが変わりました。私のところは手狭になり、仕事の都合上、近代的な建物に建替えました。雰囲気だけでもと、表の壁に瓦を付けてみましたが、やはり住むのは昔ながらの風情のある和風建築の家の方がいいですね。町並だけでなく、子どもが激減したことも大きな変化です。親の過剰な愛情や期待を受ける子、けんかの加減を知らない子が増えていることが心配です。

林 寛一
林 寛一
はやし かんいち
昭和13年生まれ。同36年、同志社大学商学部を卒業後、家業を継ぐ。「お寺がある限り、ニーズはある」と思い至り、家業を継ぐことを決心したという18代目。自らも修験者として、十数回の経験を積む。
有限会社 林勘法衣店
有限会社 林勘法衣店
慶長年間(1596~1615)、烏丸通六角にて創業。近江から出てきた当初、初代は白粉屋勘兵衛を名乗り、修験装束・法衣ならびに白生地を扱っていたという。のち、修験装束と法衣を主に扱うようになり、聖護院・醍醐寺など天台宗、真言宗系列の本山御用達を務める。他には荘厳品一式などを扱う。宣任但馬掾(掾は判官を表す)という禁裏御所御下賜薄墨の御綸旨(みことのり)が残る。
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