京を語る

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第14号 1994.9.7発行
このページは、情報誌「京都」掲載記事からの転載です

池田炭を焼いている人は今や数人しかいません。石津 義雄 和泉春石津商店

一般家庭において、今や炭は不要のものとなりました。現在使用されているのは、料理屋などで使われる備長炭と、茶道における炭。茶事のお点前に使われる炭を特に“道具炭”と呼んでいます。道具炭は、くぬぎを材料とし、うちでは本場の池田炭を多く扱っています。

池田から届いた炭を寸巾に切って、井戸水に通して炭の粉を取り去ります。切断する時 は、炭の皮を壊さんように細心の注意をはらわなければなりません。そおっと機械でひく んですわ。

質のよい道具炭いうたら、皮がしっかりしていて、きめが細やか。もちろん火持ちのよ さも条件の1つです。池田炭を焼いている人は、今や数人しかいません。20歳そこそこの 若い人もいてくれはりますが、焼き手が少ないことと高齢化が何より心配です。山の手入 れを昔のようにやらなくなったことも、気がかりで……。

道具炭は炉用と風炉用があり、流儀によっても、数や寸巾が多少異なります。おおむね 胴炭、丸ぎっちょ、割ぎっちょ、管炭、割管炭、添炭、白枝炭などを一式とお考えいただ いたらいいでしょう。

正式のお茶会には、初炭と後炭のお点前がつきますが、テレビの中継などで炭点前が大 きく映りますと、ほんに嬉しゅうなります。

炭はきれいですわ。灰になってしもてからもきれいです。炭屋のせいか、炭がお茶事 の主役のようにも思えましてね。

石津 義雄
石津義雄
いしづ よしお
昭和9年に生まれる。中学に上がるころより、家業の炭を手がけ、仕事のかたわら、高校の 夜間部に通う。昭和52年に7代目を継ぐ。生来のまじめな気質で「家業を守るためにも、 かっちりとした仕事をするだけです。」
和泉春石津商店
和泉春石津商店
明和3年(1766)京菓子司・亀屋吉則で修業した初代が、茶菓子との関わりから、茶炭を商 うようになる。代々茶炭だけを専門とし、三千家をはじめ茶道家元に出入り。高品質の茶 炭を扱う店として知られ、全国の茶人へ炭を納める。初釜、風炉、炉開きの時期だけでな く、中元や歳暮のシーズンも大忙し。「休日もない有様です。信頼のおけるものを手がけ たいので、身内だけでやっています。」
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