京を語る

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第7号 1993.7.7発行
このページは、情報誌「京都」掲載記事からの転載です

とにかく丁寧につくるという事は常に思ってます。小野 孝一 小野珠数店

正確な数字は出ていないんですけど、創業270年ほど、江戸の中期頃には珠数屋を商っていたという文献があります。いろんな資料を元に調べたところでは、私で12代目という事です。この地、寺町は400年前に豊臣秀吉がおこなった区画整理により、お寺が集められたという史実がありますが、その頃より、この辺りに数軒の仏具、珠数屋ができたという事らしいのですが…。

物心ついた頃から、ずっと父の仕事を見てきましたので、後を継ぐ事に抵抗なく自然に入れましたね。父は仕事に関しては、ああしろ、こうしろとは絶対に言いませんでした。自分のやっているのを見て取得しろと…。ですから見様見真似で仕事は覚えました。家訓は、これといってありませんが、代々の言い伝えとして父から、手作業でやっている仕事だからということで、「持ってくださる方の気持ちを考えてつくること」と言われました。その事は自分なりに判断してやってますけど、未だ自分では一人前だとは思っていませんね。というのは、何代か前の組んだふさがありまして、それを見ると自分の力は及んでいないなぁと思います。それがある事がいい見本やと思って、とにかく丁寧につくるという事は常に思ってやっております…。

京都は、1200年もの歴史に培われた伝統や歴史があります。私達は、それを後世に伝えていく義務があると思います。伝統産業に関わる人材不足の今日を見てますと、育成の問題を考えなければと思います…。

小野 孝一
代表取締役
小野孝一
おのこういち
昭和24年生まれ。昭和50年家業に従事。平成元年代表取締役就任。暖簾と品質を守る為素材にこだわり、「丁寧につくること」をモットーとし、日々努力を重ねる。その姿勢には12代目当主としての情熱が感じられる。
有限会社 小野珠数店
有限会社 小野珠数店
初代菱屋嘉助が円福寺門前、寺町のこの地に店を構えて以来、約270年。仏教8宗36派の珠数を取り扱うお珠数専門の老舗。代々、延暦寺、知恩院、南禅寺、鞍馬寺、三千門院跡等の御用を務める。手づくりの真心のこもった温もりのある珠数は高名な僧侶をはじめ常連客に高く評価されている。幕末期頃のものと思われる趣のある表店(写真左)のたたずまいは、暖簾と共に大切に守られている。
〒604-8045
京都市中京区寺町通蛸薬師下ル
075-221-2608