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京もの語り【きょうものがたり】

堀金箔粉 食品用金箔

「金箔ソフト」が観光客の間で話題になっている。ソフトクリームに金箔が贅沢にはりつけられ、インスタ映えすることこの上ない。ひとつ千円前後とこれまたお値段もゴージャスであるが、極上の気分になれて、食した人の満足度は高いようだ。

山のような金箔 貨幣局附金箔打座の鑑札

金箔は、光り輝く浄土の世界を表わすため仏壇や仏像に使われたり、大名たちが権力を誇示するかのように建築や調度品にふんだんに使ったりした。この『老舗モール』で取り扱っている伝統工芸にも欠かせない材料である。しかしまさかソフトクリームにのっけて食べるとは、あの黄金好きの豊臣秀吉も想像だにしなかったであろう。「おぬし、そ、それを食べるのか?」とのけぞる秀吉公に耳元で囁きたい。「そう、金箔は安心して食べられるようになったんですよ」と――。

食品用の金箔を開発したのは、京都で創業300余年の堀金箔粉。江戸中期に初代が金座付箔師として金箔の製造を始める。幕府は金座や銀座を設けて金銀箔の製造を厳しく統制していたのである。その後、明治の新政府から貨幣局附金箔打座の鑑札を受け、販路を全国に拡大。この長い歴史の中で新機軸となったのは、昭和60年に食品用金箔「舞妓印」を開発したことだった。当時、日本酒に入れる金箔の需要が高まっていたからである。

金箔は薄く引き延ばすために金のほか微量の銀と銅を合金してつくられるが、食品用では人体に対して安全な金銀のみで銅を含んでいない。銅を合金しない金箔の製造は薄く引き延ばすことが困難とされたが、堀金箔粉は安全を第一に製造に踏み切ったのである。

検査員

▲異物を見逃すまいと金箔を検品する検査員

さらに食品用となると、いかに異物混入を防ぐかが重要となる。口に入れるものだから尚更厳しいわけであるが、金属の中に混入した異物を検知するのは目視でないとできないという。堀金箔粉では京都本社2階の粉砕作業室で、完全防備の検査員が黙々と検品している。棒でかき分けると、金箔がひらひらと舞い、異物がないか綿密にチェック。これが何度も繰り返される。私たちが安心して金箔を口にできるのも、300年の信用に応えるべく、このように徹底した品質管理が行われているおかげだ。

取材が終盤になる頃、堀社長がおもむろにポケットから小さな竹筒を取り出された。テーブルの湯呑みに一振りされると、キラキラとお茶が輝きだした。まるで魔法を振りかけられたかのようだったが、これぞ食品用に開発した「舞妓印 竹入」。金箔が安心して食べられるようになったばかりか、こうして気軽に使える商品も開発されていたのである。

携帯電話を持つ時代から、これからは携帯金箔。家族や仲間のお祝い事がある時やデートの時に、料理やドリンク、スイーツに一振りしてはいかが?(文・丸太町子)2017.12.8

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