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京もの語り【きょうものがたり】

本田味噌本店 西京白味噌

京都の白味噌。お正月の雑煮はもちろんのこと、賀茂なすや生麩など京名物に塗って田楽にするのも美味しい。また祇園祭の時期には鱧が食されるが、この酢味噌にも使われる。さらに菓子界においては羊羹や餡にも使われ、一口味わうだけで「あ、白味噌が入ってる」とわかる。その上品でまろやかな甘みは、いつでも幸せな気分にしてくれる。

味噌のルーツには諸説あり、「味噌」という文字が初めて登場したのは平安時代初期。平安中期の律令が編纂された『延喜式』(えんぎしき)によると、宮廷の高級官僚の給料代わりに味噌が支給されたという。当時はそれほどの贅沢品だった。白味噌は室町時代に公家の発想から生まれたと伝わるが、実際に文献にあらわれるのは江戸時代からで、宮廷では主に白味噌を使っていたようである。

白味噌づくりには米麹が多く使われるが、その糖化作用によって甘くなっていく。そして大豆の皮を除いて煮ることで白くなるが、短期熟成で仕上げるため造るのはなかなか難しいそうだ。

本田味噌本店の白味噌は「西京白味噌」と呼ばれる。「サイキョウ シロミソ」と音で聞くと、最強の白味噌かと思い違いしてしまうが、サイキョウとは「西京」。本田味噌本店は江戸時代の創業から宮中に味噌を納めていたが、明治維新で御所が東京に遷った。京都は西の京、すなわち「西京」と呼ばれたことから、「西京白味噌」と商標を掲げるようになる。

▲京都御所近くの室町通沿いに構える風格漂う店舗

ちなみに、本田味噌本店が京都に留まったのは、味噌づくりは造る場所によって味が変わってしまうからという。同じ材料を使っても環境(気候や湿度、水の質、発酵を促す微生物)が変われば、同じ味にはならない。「京都の土地で造らないと、西京白味噌にはならない」それが、200年近く続く老舗の行き着いた答えだった。

今、免疫力を高める発酵食品が注目されているが、味噌には美容に大切な女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンも含まれている。しかも、西京白味噌の塩分は約5%と最も低い。宮廷の姫君たちがその効果をご存じだったか定かではないが、現代の私たちもお味噌汁に限らず、甘味料として毎日摂り入れたいところである。カレーやシチューの隠し味に入れるとコクが出るし、ホワイトソースともよく合うのでパスタやグラタンに入れるのもおススメらしい。

西の京で、初代から脈々と受け継がれてきた秘伝の「西京白味噌」。最上級の白さ、最高級のなめらかな甘み…もはや最強の白味噌であるとも言えるのでは?! (文・丸太町子)2017.7.13

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