京都の秋の味覚、丹波栗。大粒の実と豊かな甘さをもったその独特の味わいを、様々な銘菓を通じて楽しませてくれるのが、京都御苑の近くに店を構える「京都くりや」。
創業安政2年(1855)の老舗、園部町「くりや」本店から明治後期に暖簾わけした分家である。栗入りの最中やどら焼、季節限定の栗おはぎといった品揃えのなかでも、名物として知られるのが、栗を一粒そのまま蜜漬けにした「栗納豆 金の実」。(⇒今すぐ購入)
丹波栗ならではのほっくりした風味が特長だ。
「大正6年と昭和3年には、天皇陛下のお買い上げをいただきました。金の実を気に入っていただいたのでしょうか。まことに光栄なことです。」
と誉れを語る、3代目主人の山名清司さん。
また、明治から昭和にかけて活躍した画家の山元春挙さんや、漫画家の根本進さんなど多くの粋人に愛されてきたことも、金の実の魅力を伝えるエピソードの一つだ。
「自然の風味を損なわないことが大切です。」
と、銘菓の美味しさの秘訣について語る山名さん。
「京の生菓子は茶の湯とともに発展してきましたが、元来茶事では茶請けとして菓子でなく果実をつかっていました。金の実はそれをヒントに考案された、素材そのものを味わっていただける菓子です。」
金の実の製法はいたってシンプル。厳選された大粒の丹波栗を皮を剥いたのち水で炊き、調味は砂糖だけだ。
素材の良さを最大限に引き出されたこの菓子は、素朴でいて滋味に富んだ贅沢な味わい。そして1粒ずつ金色のセロファンで包まれたその姿は、愛情込めて大切につくられてきたことを示すように輝きを放っている。


「京都くりや」では20年ほど前から、修学旅行生を対象に体験工房を開いている。
「難しいことを教えるつもりはないんですよ。家に帰った時に、『京都でこんな菓子をつくったよ』って、家族に土産話をするきっかけになればいいなと思っています。」
その時の想い出が記された卒業文集が送られてくることも多く、それがとても嬉しいのだという。
こんな気持ちで菓子の美味しさを伝えていく店の在り方に惹き付けられるように、毎日1つ2つと買い物にくるお客さんも後を絶たない。



