京を語る

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第1号 1992.7.7発行
このページは、情報誌「京都」掲載記事からの転載です

今さえよかったらええという考えはもうやめんと。玉置 辰次 (株)半兵衛麸

実はね、うち、ビルに建て替えよ思てたんですわ。ところがたまたま数年前、娘とボストンヘ行きましてね、一切車に乗らず街中スニーカーで歩きとおしたんですよ。そしたらその街並みが、古いのと新しいのとうま-く調和がとれてるんですね。古い教会と、隣の新しいガラス張りの市役所が調和しているんですわ。それ見て、待てよ、古いものを1度壊してしもたら2度と建てられん、と思って、残すにはどうしたらええかと考えたんですわ。

今ではお客さんがお孫さんに「昔はこんなおくどさんでご飯炊いてたんやで」とか教えたはんのを聞いたら、残しといてよかったなー思いますね。そやけど他府県のかたは、残せ残せゆわはりますけどこっちはたまったもんやない。古いもの残すには色々とお金も余計かかりますしな。もっと将来の遠大な計画を立てて行政や町衆が一体となって今後の京都を真剣に考えんといかんのに、4年しか京都に居ない学生さんの無責任な発言や市長さん選んでもろたら、困るのはいつも残っている京都人ですわ。

今さえよかったらええという考えはもうやめんと…。売れるからゆうて恰好だけの“京都”製品をバンバン作ったり、無頓着な看板たてたり、京都人かて、もうちょっと誇りを持って気ィつこたら、町の保存はできると思いますよ。高さどうこうにばっかりこだわってんとね。

玉置 辰次
玉置辰次
たまおきたつじ
創業300年を誇る半兵衛麸の社長。初代萬屋半兵衛より11代目。全国製麸工業会専務理事をはじめ、商工会議所議員など各界の世話役として多忙であるが、「料理にも商いにもうるおいを」をモットーに海外にても感性を磨く。
株式会社 半兵衛麸
株式会社 半兵衛麸
仏教の厳しい戒律から殺生禁断・肉食を禁じられた禅僧の蛋白源として精進料理に生きつづけ、茶懐石京料理の発達と共に歩んできた麸。麸一筋に300年、昔の味と技を守り、皆様に喜んで頂けるよう寺院や料理店に納めている色々の麸をそのまま包装してお頒けするのが当店の務めであると語る。また、近年はモダンなサロンでいただける麸料理を始める。美しい器と濃やかな風味が視覚と味覚を同時に満足させてくれる。
〒605-0903
京都市東山区問屋町五条下ル上人町433
075-525-0008